ため池とは、降水量が少なく、流域の大きな河川に恵まれない地域などで、農業用水を確保するために水を貯え取水ができるよう、人工的に造成された池のことです。ため池は全国に約16万箇所存在し、特に西日本に多く分布しています。
ため池の多くは江戸時代以前に築造され、築造にあたっては、各地域において試行錯誤を繰り返して得られた経験をもとに造られたものと推測されます。
水田農業を主体とするわが国では、ほ場の拡大や土木技術の発達とともに農業水利施設を造成し、水源として農業用のため池も数多く築造してきました。
ため池の約70%は江戸時代以前に築造されたもの、もしくは築造年代が不明なものであり、築造に当たっては、各地域において試行錯誤を繰り返して得られた経験的な技術をもとに造られてきたものと推測されます。
昔の工事の様子
ため池の築造年代
ため池は、その形態により「谷池(たにいけ)」と「皿池(さらいけ)」に区分されます。
棚状に複数のため池が連なっているものは、「重ね池(又は親子池)」と呼ばれています。
ため池は、水を貯める「堤体」、洪水を安全に流すための「洪水吐※1)」、かんがい用水を取り入れるための「取水施設※2)」などから構成されています。
※1) 洪水吐は、別名「余水吐」と呼ばれることもあります。
※2) 取水施設は、機能及び構造に応じて、取水部(斜樋又は取水塔)、導水部(底樋又は取水トンネル)に区分されます。
ため池は、農業用水の確保だけでなく、生物の生息・生育の場所の保全、地域の憩いの場の提供など、多面的な機能を有しています。
また、降雨時には雨水を一時的にためる洪水調整や土砂流出の防止などの役割を持つほか、地域の言い伝えや祭りなどの文化・伝統の発祥となっているものもあります。